革フェチMシロの妄想第7話 ~優里の悪戯~ -前編-

霧里純レザーショップの新ブランド「MIST.JUN」の試作品がファッション誌に紹介されてから、問い合わせや来店客が増え、純様は嬉しい悲鳴をあげていた。
 「ねぇ、シロ…このままじゃ、シロもみんなも倒れちゃうわね。短期で良いんだけど誰かアルバイトに来てくれないかしら…。」
 「分かりました純様。スタッフのみんなにも当たってみます。」
 「それからシロ、年内にもう一度イタリアへ行って正式な契約を結んで来て欲しいの。」
 「はい、かしこまりました純様。すぐに準備いたします。」
翌日、…閉店間際の店内で、一人の女性が純様に声を掛けてきた。
 「あの~、……」
 「何かお探しですか?お手伝いいたしましょうか?」
 「あの~、こちらでアルバイトでも良いので、働かせてもらえないでしょうか?]
純様は早速スタッフの誰かが声を掛けてくれたものと思い尋ねた。
 「どなたのご紹介?」
 「いえ、以前から凄く素敵なお店だなぁと…こんなお店で働きたくて…。」
優美は雑誌に紹介された「MIST.JUN」のレザースーツ姿の純様に会いたかったとは言えずに、思わず噓を言った。
 「あら、そうだったの。今、とても忙しくてね、アルバイトを募集しようと話してたとこだったの。丁度良かったわ!」
 「本当ですか!ありがとうございます。」
 「で、いつから来れるの?」
 「ハイ、今日からでも大丈夫です。」
 「そう、助かるわ~、ほら、あそこに立っている男の人、シロって言うんだけど…」
 「シロ…さん?」
 「彼に何でも聞いて。一週間後に出張でいなくなっちゃうから、それまでに覚えてね。」
 「分かりました。よろしくお願いします。」
 「こちらこそよろしく、じゃ、頑張ってね。」
その日の閉店後…
 「優美ちゃん、疲れたでしょ?初日からよく頑張ったわぁ。今日はもう帰って良いわよ。あっ、履歴書はそこに置いといて、後で見とくから…」
 「はい、お疲れ様でした。お先に失礼しま~す。」
純様がシロを呼んで優美の仕事ぶりを聞くと、物覚えも早く接客も丁寧なので、十分やっていけるとのこと。
しかし、シロには一つだけ気になることがあった。それは…
仕事中に何度も純様のことを見つめ、うっとりとした表情を浮かべていたのを、シロは見逃さなかった。
シロは確信していた。間違いなく優美は…純様のことを…
それから一週間後、シロはクリスマス休暇で賑わい始めた成田から、再びイタリアへと旅立った。
まだ、留守中に起こる出来事など、勿論…知る由もなかった。
シロが出発した日の夕方、純様は優美を呼んで…
 「優美ちゃん、私ね、今晩お客様のパーティーにご招待受けてるの。店には戻らないでそのまま帰るから、片付けたら戸締りして帰ってね。」
 「分かりました。行ってらっしゃいませ、純社長。」
閉店後、スタッフ全員が帰ったあと優美は、社長室のドアノブをそっと回してみた。
ソファーには着替えたレザージャケットとミニスカートが無造作にかけられ、床にはサイブーツが横たわっていた。
優美が衝動を抑えることは、最早無理だった。
先程まで純様がお召しになっていたレザージャケットに顔を埋め、思い切りラムレザーの香りを吸い込むと、
女子高時代の衝撃がフラッシュバックの如く甦って来た…
優美にとってラムレザーの匂いは女子高の先輩「優里(ゆり)」との思い出の香りだった。
そして、その優里に純様が余りにもそっくりだったことが、優里の心を大きく揺さぶった。
ファッション誌のレザースーツの写真を見て、純様に会いたい一心で店を訪ねたことを告白する勇気が優美には無かった。
優美が革を意識した、否、させられたのは、某有名私立女子高で一学年上の部活の先輩、優里に調教されたのが初めての遭遇だった。
優里とは名前の優の字が同じだったことがきっかけで仲良くなり、いつも恋人同士の様に2人は連んでいた。
年内最後の部活が終わったその日も、一緒に帰る電車の中で、いつものように他愛ない話で盛り上がる2人…
別れ際、優美は初めて優里の家に誘われた。
「今日、両親が旅行でいないから泊まってゆきなよ!」の一言が、その後の優美の性癖を決定づけるとは…
優里の部屋のクローゼットにはレザーばかりが、所狭しと並べられていた。
「優美も着てみる?」
「え~、私、優里さんみたいに美人じゃないから…」
「大丈夫よ、これなんかどう?」
優里は編み上げのレザーワンピースを取り出し、優美に着るよう促した。
「うん、似合う、似合う、素敵よ。鏡、見てらっしゃい!」
優美は初めて袖を通したレザーに不思議な興奮を覚えた。
「え~、優里さん、やっぱり私…」
その時優里が、レザーワンピースの優美を背後から抱きしめ、
「優美!今夜は朝まで寝かせないわよ。優美を革の虜にするまで…」
優美は、いつかこんな日が来ないかと心の奥底で願っていたもう一人の自分に、既に熱いものを感じ始めていた。
革フェチMシロの妄想第7話 ~優里の悪戯~ -前編- 完

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